ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧（2003年度:第20巻～）→
厚生労働省は企業のパートの活躍度を診断するシステムを開発し、4月から専用サイトを設ける。正社員とパートの人数や仕事内容、人事評価の仕組み、賃金、福利厚生など自社の状況を入力すると、処遇の評価や改善に向けた助言、他社の効率的なパート活躍事例などを表示する。
5年ぶりに改正される家庭用品品質表示法・繊維製品品質表示規定で、表示義務の対象に加えられるのが「上衣又はコートの詰物」(中わた)。市場でダウンジャケットといってもダウンの混用率は「最低50％、実勢は70～80％中心で、バラツキがある」のが実態。寝具寝装品業界は既に全日本寝具寝装品協会が「羽毛布団の基準はダウン混用率50％以上。50％未満は羽布団」との規定を策定、運用している。経済産業省は業界関係者とも相談しながら、ダウンジャケットについて、「業界の自主的な取り組み」を促進する。取り組みにはガイドライン策定なども検討。同改正は7月に告示される。
3月に行われた第2回東京発日本ファッション・ウィーク(JFW)は、主催者のファッション戦略会議によると、総入場者は4万4千人で、うち海外からはバイヤー20人、プレス90人だった。初めて取り組んだ一般消費者を対象にした休日企画も好評だったが、デザイナー合同展示会はバイヤー集客力の面で課題を残した。
中小企業基盤機構が公表した05年度企業環境調査報告書｢創業・新事業展開事例調査(生活雑貨小売業)｣によると、中小企業にとっても生活雑貨小売業はビジネスチャンスが大きい市場と指摘している。市場の安定化や開業の手軽さ、取り扱い商品の身近さ、開業支援口座の開設・開業マニュアルなどによって新規参入が増加、大手から零細個店まですみ分けが進んだため。
05年からのポストATC(繊維協定)を機に、繊維強国としての中国の存在感が一段と高まった。経済産業省は繊維協定失効後1年が経過したアジアの主要国における繊維産業の実態調査を実施、中国繊維産業の実力を分析したうえで、わが国繊維産業が目指す方向として、衣料分野は｢中国では生産できない高品質の生地など中国に供給し、最終製品を欧米に輸出する｣ことの優位性を強調。
65歳まで雇用の確保を企業に義務づけた改正高齢者雇用安定法が4月から施行、企業は①定年の引き上げ②定年後も働ける継続雇用導入③定年制度の廃止、のいずれかの措置をとらなければならない。PDCが会員のアパレル企業(29社)に調査した結果、②が多数を占めた。
内閣府が発表した3月の景気ウオッチャー調査は、街角の景況感を示す現状判断指数が前月より3.8ポイント高い57.3と2000年の調査開始以来、過去最高になった。11ヶ月連続で50を上回り、地域別でも11地域全てで50を超え、全国的に景気回復が実感されている様子が浮き彫りになった。家計動向を示す現状判断指数も前月より4.4ポイント高い56.0と過去最高だった。北関東のスーパーが「春物のスーツやコートの売れ行きが好調」と指摘したほか、東北の百貨店も「気温上昇に伴い春物が動き出している」という。
産業構造審議会の06年版｢不公正貿易報告｣で、主要相手国を対象に全体で112件の貿易政策・措置の問題点を指摘した。これを受けて経済産業省は優先度が高い12項目を取り組み方針とした。中に、中国の中古衣料品の輸入禁止、インドの繊維製品の高関税や小売り分野の外資参入禁止などがある。
中小企業庁が初めて発表した｢元気なモノ作り企業300社｣で、繊維・生活関連分野から12社が選ばれた。小型ロックミシンの開発、化学艶出洗濯加工技術の絨毯製作、自動色換機構の工業用刺繍機製造、多品種小ロット織物生産システムの開発、四軸織物技術の実用化などの企業が挙げられる。
企業の不正を内部告発した社員らを守る公益通報者保護法が4月1日施行された。同法は、生命・身体の保護や環境保全、公正な競争の確保などにかかわる417の法律・政令について、違反行為の内部告発者が解雇されたり不利な取り扱いを受けないよう保護するのが目的。
自民党の経済産業部会は、繊維・ファッション政策小委員会の初会合を党本部で開き、「来年度概算要求までに産地などの意見を集約して繊維産業の要望を取りまとめる」ことになった。昨年廃止された繊維対策特別委員会に代わって、繊維産業を川上から川下まで俯瞰し、構造的問題の総合的理解に立って21世紀の日本を支える産業としての発展を促す政策を検討する。
経産相の諮問機関である日本工場標準調査会は06年度活動計画で繊維製品取り扱いJIS(日本工業規格)の国際規格との整合化に取り組む。繊維製品の洗濯絵表示(ケアラベル)のJISは家庭用品品質表示法の基準として活用されているが、欧州の洗濯方式を主体とした国際規格と整合していないため、ISO(国際標準化機構)規格の改正作業に取り組む。
この規格は、繊維製品の物理試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態を踏まえて、規格内容の充実を図るため、改正を行うものである。
この規格は、繊維工業において紡績部門の操作などに用いる主な用語について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態を踏まえ、規格内容の充実を図るため、改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。｢リング紡績｣、｢フリクション式オープンエンド紡績｣、｢サイロスパン紡績｣を追加する。
この規格は、繊維工業においてニット部門の組織、生地、操作などに用いる主な用語について規定したものであるが､最近の生産及び使用の実態を踏まえて、規定内容の充実を図るため、改正を行なうものである。主な改正点は、次のとおりである。1)つづれ編、シンカループの図をわかりやすいものに変更する。2)絡み添え糸編をラップ編に変更し、対応英語を追加する。3)パール編、添え糸編、パワーネット生地、ノップ編の意味をそれぞれ一部変更する。4)規定名称のメリヤス部門をニット部門に変更する。
旭化成せんいはこのほど、スパンデックス「ロイカ」の新素材「ロイカFW」を開発した。独自のポリマー設計で様々な汚染物質による黄変を軽減する機能を持たせた。スパンデックス混の繊維製品は、空気や水、光に含まれるさまざまな汚染物質によって、加工から販売、使用中に記事が黄変する場合があり、特に淡色の多いインナーでは問題となっていた。ロイカFWはポリマー技術を駆使することで、黄変のもとである空気中のNOxガス、水道中の金属イオン、紫外線などの影響を受けにくくした。糸、生地でそれぞれJISに基づく物性評価を行っており、従来糸に比べてNOxガスに対する黄変の度合いを5分の1程度に抑制。塩素・金属イオン、銅イオン、紫外線でも2分の1から4分の1程度、黄変を起こりにくくした。
ユニチカテキスタイルは長短複合糸「セルグラン」を開発、07年春夏向けから販売に入る。セルグランは2成分系のポリエステル長繊維を芯にして、周りをリヨセルや綿で覆った糸。適度なストレッチ性と、カバリング率を高めたことによる天然繊維の風合いが特徴。ポリウレタンに比べ、耐久性や耐塩素性に優れる、縫製時に生地がカールしにくいといった利点を生かし、ポリウレタンに代わるストレッチ素材として訴求する。主に肌着用として天じくを中心に提案するが、徐々に用途を増やす考え。
関西大学工学部の石井康敬教授・坂口聡専任講師(有機合成化学専攻)らの研究グループが、ナイロン原料であるε－カプロラクタムの新合成法を開発した。この技術により、従来製法では大量に発生する硫酸アンモニウムをなくすと同時に、高収率でカプロラクタムを得ることが可能になる。石井教授らが開発した合成技術は、まずシクロヘキサンを亜硝酸第3級ブチルとN－ヒドロキシフタルイミドを触媒に用いて75℃で反応させ、ニトロソシクロヘキサンを生成し、次にアミンでシクロヘキサノンオキシウムに定量的に変換したのち、塩化シアヌル触媒を用いてカプロラクタムに異性化する方法から成っている。
3回連載講座の第一回で、乾式と湿式、コーティングと転写、生地の使い方など、製造原理と製品の種類を詳細に解説した。分かりやすい図を加えて説明され、各製造方法が最終製品にどのような物性の違いを生じるかまで言及している。
ポリ乳酸繊維(PLA)の意義は、トウモロコシ、ビート、サトウキビなど、コンポスト化(堆肥)による再資源化が可能なので、自然界の物質循環にリンクできる点にある。さらにエネルギー使用量や炭酸ガス発生量も少ない。このようなPLAについて、製法、特性、用途を解説し、取り扱い上の留意事項も述べた。結晶性の脂肪族ポリエステルなので、既存のポリエステル(PET)の製造設備を転用した溶融紡糸法で製造できる。PLAの物性は、PETに比べて曲げやすく、水との親和性が高い。抗菌性を備えている。熱収縮率は高く、寸法安定性にやや劣る。今後の課題は市場の開拓と生産コストの低減である。
カイコは昆虫としては例外的に大量飼育が可能で、しかも一頭当たりの絹の生産性が高い。したがって他の昆虫(クモ、野蚕、水棲昆虫など)の貴重な糸をカイコで作ることができれば、これらの糸の量産が可能になる。このような目的で本研究は行われた。まず目的とする昆虫の遺伝子を大腸菌で組み換えた後、そのDNAをカイコの産卵直後の幼虫に注射する。注射された遺伝子がカイコの染色体に転移すると、マーカー遺伝子を用いて検出できる。成果の一例として、緑色蛍光タンパク質を融合した絹糸の例が紹介された。
1)ナノテクノロジー応用機能繊維、機能加工技術の現状 山崎義一，ナノテクノロジーとは、ナノテク材料の危険性、日本でのナノテクノロジーの展開、ナノテクノロジーと繊維技術(①ナノファイバー、②ナノコンポジット、③ナノコーティング、④ナノ加工、⑤主要合繊メーカーのナノテクノロジーを駆使した機能繊維素材・機能加工)など総論を紹介。その他、次の内容がある。2)ナノ構造制御繊維「ブラックソフィスタ」 坂本和繁 3)ナノ構造制御光干渉繊維「モルフォテックス」 阪井宏史 4)ナノ機能制御膜防水透湿素材「エントラント」 春田勝
昆虫生産物の利用として、絹たんぱく質(フィブロイン、セリシン)、ホーネットシルク(スズメ蜂の繭)、昆虫キチン、昆虫ワックスを紹介している。筆者が所属する農業生物資源研究所では、①フィブロインを多孔質の三次元構造体(スポンジ)として化粧用材料に、②セリシンは保湿作用に優れ利用が高まっているため、セリシンのみを分泌する蚕品種の開発、③ホーネットシルクは細胞親和性において特異性があり、生体医療材料への利用、④昆虫キチンは甲殻類キチンと異なり非晶領域の膨潤が起こりやすく酸、アルカリで分解されやすいため、分離膜、抗菌剤のような機能性キチン誘導体が高い収率で調整できる、などの研究を行っている。
日東紡インターライニングは、コッカとのコラボレーションによる柄がプリントされたラミネート素材を展開する。この素材は多用なプリント柄の基布に接着樹脂をコーティングしたもので、表地にラミネートするもので、補強や表地の動きを適度に押さえ、ハリ、コシを与えるなどの芯地機能を持つファッショナブルな裏地を演出し、表地そのものにも新しい表情と付加価値を生み出すという。これまでも熱転写プリントによる類似の商品はあったが、柄や堅ろう度の問題があった。今回はスクリーンプリントの本格的プリント柄である。
デニムメーカーの吉河織物は次々に差別化デニムを開発し、他社にない独自性を強く打ち出している。現在、世界初となる「アクリルデニム」を開発中。たて糸にアクリル(混率30％)、よこ糸に綿100％を使用し、軽くて暖かいデニムとして市場にアピールする方針である。さらに「ウールデニム」も開発、たて糸とよこ糸にウール(混率20％)を使用しており、同社が初めて成功した。「軽く、薄く、柔らかく、暖かい」が特徴である。これら差別化デニムを、人とは違ったジーンズを望む30歳前後の女性を重点ターゲットとして訴求を図る。そのほか、多種多様な差別化デニムを市場に投入し好評。電子ジャガードのデニムも世界で初めて開発した。あらゆるドビー柄の表現も可能という。
繊研新聞社のアンケート調査によると、07年春夏のテキスタイルに必要なキーワードとして、「上質・高級感」が圧倒的な支持を受けた。06年春夏には「ナチュラル」に首位を明け渡したものの、06～07年秋冬に再び1位に返り咲き、上質な素材による満足感が物作りの前提になる傾向を改めて示す結果となった。調査は年に2回、大手素材メーカーや産地企業、服地コンバーターなどを対象に実施、今回の有効回答数は55。(詳細は17日付同紙9面) (カッコ内は前年順位)
シキボウは07年春夏向けニットで、洗濯を繰り返しても硬くならず、毛羽立ちにくい綿の特殊紡績糸「デュアルアクション」シリーズを本格販売する。デュアルアクションは、糸の表面が滑らかになるよう毛羽の先を中に詰め込むようにし、かつ太さを均一に紡績するため、毛羽が少なく、適度なハリコシと光沢を備える。特に洗濯を数10回繰り返した際に、毛羽と風合い変化が少ない点で特徴が出る。超長綿を主体とした綿100％やポリエステル交編をメンズのポロシャツやレディスのカットソー、レディスインナーに向け提案する。
韓国の中堅合繊メーカーのフュービスは、形状記憶原糸「メモリ」の量産体制を築き、事業拡大に積極的に取り組んでいる。メモリは製織してジャケットやパンツ、下着などの縫製品に仕上げると、自然なシワと手で押すだけで元に戻る復元性が特徴。同社は昨年10月の原糸生産から、中堅織物業者10社と「フュービス・メモリサークル」を作り、活発なマーケティングを行っている。加盟業者が生産する織物は、国内アパレルに販売するほか、日本、ＥＵなどに輸出、さらに中国やベトナムで縫製してロシアに輸出する計画もある。メモリ原糸はセミダルの75Dと150Dが中心。今後も糸種を広げ、差別化原糸として育成する考え。
ステンレスを使わず、肌に違和感を生じない新しい形状記憶素材を、服地コンバーターの外村が開発し、販売する。開発品はマスクの形状保持などに使用されるポリオレフェンを原料にした、プラスチック繊維を使った素材。キュプラのコアヤーンや綿、シルクなどとの交織で、平、綾組織を織り上げ、適度にしわ加工して仕上げる。07年春夏婦人服を対象に展開。
北陸産元商社の老舗である岸商事は、2年前にスポーツウエア用ストレッチ織物の草分けである志雄織物、からみ織物の田鶴浜織物、高密度織物のグッドリバーのグループ内３社を統合してテクノウインを設立。設備は石川県羽咋市に建設した新工場に集約し、３社の持つ技術と伝統を融合することで、より高度で新鮮な物作りに挑んでいる。物が培った技術はいまだ他社の追随を許さない。今では20Dのナイロン糸と10Dのポリウレタンを組み合わせた「セミの羽ほど薄いストレッチ織物」の生産も可能。テクノ(技術)によるウイン(勝利)へ、めざすは「ハイブリッド工場」であるという。
東洋紡は製品にして着用すればリラックス、くつろぎ度を高めた繊維を開発。同社総合研究所がリラックス、眠気などの心理状態を生理データで評価する「心理・生理計測技術」を確立し、この技術を活用したもので「メンタルバランス」の冠プランドで展開する。被験者がさまざまな素材の衣服を着替え、読書時や安静状態などで「心理状態を口頭で述べる」主観申告と心電図、脳波を計り、その対応関係についてデータを多変量解析(因子分析)した。第1弾とし婦人肌着用にナイロン長繊維と綿、レーヨンなどの複合素材を06年秋冬から販売する。従来の「快適サイエンス」シリーズは感覚計測技術によるもの。
同学会誌3月号特集(その1)に続き、(その2)として次の内容が掲載されている。
1)ナノスケール加工技術による新素材・新製品開発 天野慈朗
2)ナノテク素材シリーズ「ナノサイエンス」と複合新素材「ガイアコット」 高森健彰
3)エレクトロスピニングを用いた新規ナノファイバー不織布の開発 小林伸弥、三好孝則
4)ナノポーラス繊維「ウインコール」 藤田友一
合成皮革に生じるトラブルを、(1)塗膜のひび割れ・はがれ、(2)色の変化、(3)その他(ドライクリーニング溶剤の残留、水による収縮、硬化)に分類し、それぞれに現象の説明、化学的な原因、対処方法を述べた。例えば塗膜の破壊の原因になるのは、空気中の水分、紫外線、NOｘガス、機械力、熱、皮脂やアルコールなどが原因になり、それぞれ固有のトラブル現象を生じる。鮮明な写真と表が理解を助けている。
モヘア、アンゴラなど衣料向け高級天然毛の輸入価格が軒並み上昇している。特に急騰しているのがモヘアとアルパカ。高級天然毛の需要は世界的に好調で、裕福層の衣料消費が拡大する中国で引き合いが伸びているほか、欧州の需要も堅調である。また日本でも昨年末からカシミヤなど高級天然毛を使った冬物衣料の消費が拡大している。一方、カシミヤやアンゴラなどの主産地・中国では砂漠化を防止するためにこれら動物の飼育頭数を抑制している。羊毛の国際相場も底堅い。
07年春夏向け第59回京都スコープは、5月18、19日に国立京都国際会館で開催。エレガンス傾向が強まる中で、10社のコンバーターが天然繊維を核にソフトさ、上質さを強調した意匠素材を提案する。ほぼ30年を迎える京都スコープは、国内アパレルの成長を素材面で支えてきたが、流通変革や海外生産の急増、関西アパレルの低迷など、素材調達の流れや市場が大きく変化してきたことで、この10数年、来場者は激減し、今回で京都開催を終える。京都開催は今回が最後で次回からは東京で開催する。(抄録者注：新合繊という名称は、1989年春夏向け京都スコープで生まれたといわれている)
洗い加工で脱色したジーンズやカラーパンツは、擦れた凸部が白く色落ちするのが普通であるが、豊和はこれとは逆に、凹部が色落ちする洗い加工を開発した。塩素などを使う脱色方法とは異なり、オゾンを生地にぶつけて脱色する独自開発の「エアーウオッシュ」技術と、薬剤との組み合わせにより商品化した。「逆ケミカル加工」(特許申請中)と名付けて、主販路のデニム用途はもちろん、カラー物の提案も強化する。
シキボウは林原生物化学研究所と共同で、綿をベースに天然糖質のトレハロースを加工した清涼素材「トレハクール」を開発した。熱伝導性や吸水性が低下しやすい形態安定加工と併せても、涼しく、乾きやすいのが特徴。07年春夏からドレスシャツやインナー、ユニフォーム、寝装分野へ販売する。トレハロースは自然界に存在する糖質で、保水効果やタンパク質変性防止効果に優れ、食品の鮮度保持や化粧品の保温剤として広く使われている。綿はもともと吸水性や熱伝導性に優れるが、シワになりやすく、形態安定加工や柔軟剤を施せば蒸れやすかった。今回、生地の段階でトレハロースを結合させることにより、形態安定性と涼しさの両立を実現。熱伝導率は通常品の1.3倍、洗濯脱水後は通常品の3分の2の時間で乾いた。
呉服専門店の鈴乃屋(東京)は、太陽光に当てると生地の柄が変わる浴衣「マジカルゆかた」を若い女性を対象に販売する。太陽光の紫外線に反応して発色する特殊な染料で生地を染めてある。屋内や夜間は無地の部分に、太陽光が当たると絵柄が浮き出る。昼と夜で異なる絵柄を楽しめる。柄のデザインは「金魚」「桜」「千鳥と梅」の三種類。それぞれ紫、ピンク、オレンジの3色をそろえた。税込み価格は16,590円。婦人服の流行を取り入れて、胸元やすそにレースをあしらった「ロマンティックレースゆかた」(19,740円)、浴衣の前と後ろで柄が異なる「ハーフ＆ハーフゆかた」(20,790円)も同時に発売する。
これまでのリング精紡機やオープンエンド(ＯＥ)精紡機と異なる方法に結束精紡・ＭＪＳ法(村田機械)と呼ばれる高速精紡法がある。同法は、ポリエステル・綿混のような素材には非常に適する方法であるが、綿100％のように繊維長が短い素材には不向きである。一方、ＯＥ精紡糸は糸質に難点があるため、ＯＥ精紡機の原理を生かしながら、改良したものがヴォルテックス精紡機(村田機械)である。このヴォルテックス精紡機の原理、糸質、コアヤーンなどについて紹介している。ヴォルテックス糸の特徴は、毛羽が少なく繊維の滑落も少ない、摩耗に強くピルが発生しにくい、吸水性・拡散性が良い、型くずれしにくいなどである。
ハンドプリーツ加工で国内大手の井上プリーツ。高い品質と高度な技術、多彩なパターンでトップデザイナーや大手アパレル、海外から支持される。量産化の先駆け的存在というだけでなく、最適な加工条件を見つける力、企画提案力、海外生産の早期進出が、現在の地位を確立。加工方法には、アイロンによる「手加工」、専用機械の熱ローラーの間に生地を送り込み、ひだをつける「マシンプリーツ加工」、型紙(カルトン)の間に生地を挟んで折りたたみ、蒸熱を加える「ハンドプリーツ加工」がある。この最後の方法によると、スカートの上下で幅の違うひだをつけるなど機械では難しいパターンが作れる。
絹の精練で大量に発生するセリシンについて、今までの繊維への応用技術を概説し、石川県工業試験場の研究を紹介している。同研究は、セリシンをジイソシアネートで架橋して有機溶剤に溶解するようにし、その改質セリシンをポリエステルのコーティング剤として利用する技術。セリシンは、高温の水のみで絹を精練して得たもので、イタリアの会社から購入。セリシンの改質方法、改質セリシンの性質、ポリエステル布帛へのコーティング、コーティング布帛の水分率、耐洗濯性に触れ、試作ドレスが昨年、中小企業長官賞を受賞している。
捺染加工場のアート(京都市)は、反応染料を使い天然繊維100％素材でも低コストで捺染できる独自の乾式転写プリントシステムを開発。このシステムはクラフト紙に特殊な親水性薬剤を加工した乾式転写の原紙を作り、その紙にパソコンで取り込んだ画像を反応染料でインクジェットによるプリントをし、転写紙を作る。その後、生地に転写してスチーミング、洗浄、乾燥する。転写時間は数秒で、転写温度は約140℃。転写時に生地への前処理を行わず、アルカリ処理も必要ない。樹脂系薬剤を使用しないので生地の風合いを損なわない。堅ろう度は通常のプリントと変わらない。既に特許を申請済み。
日本毛織は07年春夏向け紳士服地で、非塩素系の環境に優しい2素材を発売する。大気圧状態でプラズマを使った黒の濃色加工「プラズマ・ブラック」、原料選択や紡織・仕上げの組み合わせでウオッシャブル性を持たせた「ナチュラル・イージーケア」の二つ。濃色加工は、塩素によるオフスケール処理が多いが、同社は織物の裏表を＋と－の電極で挟む加工ができる数m立方体の機械を独自に開発。スケールのあるウール本来の自然な状態のまま、親水性の化学反応を可能にした。その後、特殊加工剤をナノコーティングし、光を吸収させることで深い黒を実現する。大気圧下でのプラズマ加工は「日本初」という。
倉敷ファッションセンターは、2005年度岡山県特定中小企業集積活性化促進事業として取り組んできた「新しい時代に求められる次世代ユニフォーム」を発表した。同センターは2000年度からユニフォームのサイズや体形の研究開発に取り組み、今年度は過去5年間の集大成として①カジュアルサービスユニフォーム②年代別体形へのフィット性の高いレディスユニフォーム③快適性・機能性を追求したユニフォーム、の3つに分けて、デザイナーやMDの専門家を講師に新製品開発講習会を開いてきた。これらの開発ユニフォームは同センターのホームページに公開している。
3月に入って、春物衣料の売れ行きが続いている。男性向けの洋服への家計支出が1.6％伸びた2005年に続いて、男性の消費意欲は春物商戦でも健在。暖かく感じる日が多かった12日までの販売動向では女性向けをしのいでいる。気温の上昇でジャケットからシャツへ売れ筋が広がってきた。明るい色の商品を中心に春物衣料の消費は上向いている。
東京ガールズコレクション(ＴＧＣ、ゼイヴェル主催)がブランド化してきた。11日、東京・代々木第一体育館で2回目を開催したＴＧＣ。来場者数は前回比45％増の1万8100人。ファッション誌に加え、テレビ、スポーツ紙、経済紙、インターネットなど国内外約100以上のメディアが取り上げている。特別協力したアートイベント「ＧＥＩＳＡＩ」からチェアマンの村上隆氏、同イベントの本選審査員として来日していた仏ＰＰＲグループオーナー、フランソワ・ピノー氏も来場した。
「赤文字系雑誌」で育った25歳以上の女性を対象にした“姉キャン”市場が広がりそうだ。きっかけは『ＣａｎＣａｍ』(小学館)が3月7日に創刊した『お姉さん系ＣａｎＣａｍ』。同誌の影響力を予測し、大人の女性の需要獲得を狙った新ラインやブランドを立ち上げるアパレルメーカーが相次いでいる。従来の「甘さ」「フェミニン」「クールさ」などを残しながら、素材や色使いなどで「大人の女性らしさ」を強調している。売れ行きも好調で、秋から商品開発が一段と活発になりそうだ。
夕方、百貨店の子供服売り場に、ＯＬの姿が目立ち始めた。彼女たちのお目当ては、身長150－160ｃｍの小学校高学年に向けた「小６サイズ」の服。大人も着られる大きさと独特のおしゃれなデザインが受け、仕事にもお出かけにもと「小６サイズ」が引っ張りだこだ。価格が手ごろということもブームにつながる理由になっており、子供服メーカーや小売りにとっても大人の女性が無視できない存在になってきた。
国内の各産地組合などが主催する産地展示会が今春、東京で相次いで開かれている。狙いは、独自技術をアピールし、ビジネスに直結させること。自立を模索する産地企業にとって、新市場進出の手応えを確かめるインキュベート(孵化器)的な役割も兼ねている。出展者の期待も大きく、東京での産地展は今後も増えそうだ。
男性と女性の間を自由な軸で行き来する、“インターセクシャル”なブランドがパリで相次いで生まれている。06～07年秋冬パリ・メンズコレクションでも、メンズアイテムをそのまま女性モデルに着させたり、あるいはメンズライクなアイテムをコーディネートした着こなしを提案していた有力ブランドもいくつか見られた。
住金物産が衣料品部門で東南アジア、インドでの生産拠点拡大を急いでいる。昨年、中国の人民元切り上げ、沿海部の人件費上昇などで生産コストがアップした。同社に直接の被害は無かったものの、過激な行動を伴う反日デモの発生も将来に影を落とした。同社は中国以外の生産拠点として1996年にベトナム・ホーチミンに婦人服工場を、2001年にインドネシア・ソロに紳士ドレスシャツ工場をそれぞれ100％出資で設立済み。また、3年前社内にインドチームを設置。まず、12の工場と提携し、量販店向けに低価格衣料の調達を開始。今年初めから新たに3工場と提携し技術指導を始めた。
市場への閉塞を打ち破るヒントは、商品を手に取る皮膚感から導き出される。いくつかの例が挙げられているが、アパレルではサイズ問題が取り上げられている。衣料品は同一ブランドでもシーズンごとにサイズを微調整する。細身のジャケットが流行すると、タイトな設定となり、着られなくなる「サイズ難民」が発生する。伊勢丹は若い女性向けの大きいサイズ売り場に「新11号サイズ」を導入する。通常の11号が細身になり、13号では大きすぎるという女性向き。業界各社が半ばあきらめているサイズは、実は宝の山かもしれない。
カジュアルメーカーのシー・コム(大阪市)は、ワイヤを襟や襟口、ポケットフラップなどに使った変形自在のウエアに関する特許「保形性を有する衣服」を3月24日に取得。昨春夏から新鮮なデザイン手法の一つとして、店頭で売れ始めていた商品であり、数多くの企業が商品化していただけに、影響は大きい。特許申請したのは04年7月。カットソーの切り端を向かい合わせにし、その間を別のカットソーでつなぎ、複数の縞柄を作る「カールストライプ」(呼称)と「ワイヤ衣服」(同)を一体化して出願した。05年3月に切り離して再申請した結果。短期間に特許権が確定した。デザイン手法の特許は珍しい。
メンズ市場の高級・本物志向が広がりを見せている。インポートの素材や、国産でも上質の生地を使ったアイテムに注目が集まっている。後加工で付加価値を高めたアイテムも増えてきた。仕事着として義務感から着るのではなく、女性のように自ら進んでファッションを楽しみ始めた男性客がけん引役のようである。年齢層を問わず、その数は着実に増えている。市場規模のすそ野が広がると、それに連れて感度・品質の頂上も高くなる。アパレルメーカーの提案を受けて、百貨店でも、本場・本物の商材を売りにする取り組みが見られるようになった。
経済産業省の「人間生活技術戦略06」によると、2030年に向けて取り組む31の重点技術の一つに、家にいながら体に合ったものをオーダーメードできる「オンデマンドファッション」の実現をあげている。実現に向けた計画では、現時点では店で足部の３次元寸法・形状を計測する装置が開発されつつある。07～08年には店で全身の３次元寸法・形状を計測する装置が開発され、店で計測できるようになる。10年にはユ－ザ－も含めて自主参加型の体の寸法・形状データベースを使った製造技術が実現する。20年前後には欲しい時に自分に合ったものが手に入れられる技術が開発されると予測している。
青山商事は重さを従来に比べて3割減らしたウール主体の夏用スーツを発売する。標準サイズのジャケットの重さを1ポンド(454g)以下に抑えた。一般的な夏用スーツで使われているウール素材より1-2割軽い素材を開発、ポケット内部の縫い代を1/2にするなど布の使用量を減らした。肩パッドには穴あき素材を使い、縫製時の縫い目の角度を変えることで強度を落とさず縫い代幅を減らしたという。紳士服専門店では「軽量」を競っている。
南北経済協力事業の一環として北朝鮮の北緯38度・板門店近くの開城工業団地に入居した韓国アパレル縫製工場の中で、中堅アパレル、信元の第一工場が稼働後、1年を経過した。今年2月には入居業者の中で初めて第２工場に着工、6月完成の予定で、第１、第２工場を合わせて15ラインとなり、月間5万点の生産体制を確立。第１工場の北朝鮮雇用者は330人、本社からの派遣7人などが勤務している。人件費は中国の30％水準という。関税もかからず、「メード・イン・コリア」の表記が可能の長所もある。
長く低迷していた衣料品の販売に浮上の兆しが見え始めた。経済産業省の商業販売統計によると、衣料専門店の2005年の販売高は前年比0.26%増となり、14年ぶりに前年を上回った。百貨店・スーパーも下げ止まり感が出ている。この回復傾向を後押ししそうなのが、環境省が後押しする「クールビズ」である。またリストラの完了、耐震構造の強化などを背景とした百貨店の店舗改装ラッシュも追い風となりそうだ。懸念材料は在庫の不足。メーカーや卸は多額の在庫を抱えることに臆病になっており、売れ筋商品の品切れが実際に起これば、衣料品需要に水を差しかねない。
百貨店や紳士服専門店の店頭に今週(4月2週)末から、「クールビズ」関連の新商品が相次ぎ登場する。昨年、市場が急拡大した男性用シャツだけではなく、今年はジャケットやズボン、ネクタイなどにクールビズ対応の商品が広がる。仕事の場面でも自由な着こなしができるようになり、男性のファッションへの関心は高まっている。
東京千代田区のオフィス街で17日、「クールビズ」のファッションショーが開かれた。丸の内などに勤める会社員がモデルとして登場し、環境省の温暖化対策部署の幹部職員も出演、夏場の仕事着を軽装にするように訴えた。ファッションショーは「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」や千代田区が主催し、環境省が協力する「アースデイ丸の内2006」の一環で行われた。衣装はAOKIホールディングスが提供し、綿麻混紡素材を使ったものや裏地のない綿のジャケットなど、盛夏向けの着こなしを提案した。
オンワード樫山は、通気性能を著しく高めた盛夏スーツ「ギガクールスーツ」を開発、「五大陸」「Ｊプレス」などメンズ主要ブランドで販売する。通気性を高める工夫を仕様、素材のあらゆる面から追求して開発し、従来の盛夏スーツに比べ背中部で約6倍、胸部で約4倍、大腿部で約3倍の通気性のある、蒸れにくく涼しい盛夏スーツ「ギガクールスーツ」を生み出した。通気性を細部にわたってこだわり、新たな中空構造の肩パッドや、特殊メッシュ構造のユキ綿使い、増芯に熱を放出する冷感フェルトを組み合わせるなど、新たな付属品を開発。また、仕様面で、脇下や股間部分に銀糸使いのメッシュを使い、抗菌・防臭効果も高めた。
量販店各社が、クールビズ商戦に力を入れている。昨年は突然降ってわいたキャンペーンで機会ロスを発生させたが、今年は万全の準備でアイテム数を拡大した。「前年比2倍が目標」(イオン)など、大きな期待をかけている。
今回の日経クイックサーベイでは、50％の人がクールビズファッションを「昨年もしたし、今年もする」と回答。「昨年はしなかったが、今年はする」という新規参入者も8％弱になる。クールビズの継続性では「あと数年は続く」と「完全に定着する」を合わせると72％に達する。面白いのは世代差だ。クールビズは40代、50代と年齢が上がるほど実行率が高く、一番控えめなのが20代という数字が出ている。
大手スーパーが衣料品部門の強化に動き始めた。イオンは2009年2月末までに総合スーパー(GMS)のほぼ半分の120店を改装し、ファッション性を高めた独自の衣料品を発売する。現在は肌着など実用衣料に限られているPB商品の比率を40％程度に高める。イトーヨーカ堂はファッション性を高めたPB衣料品を発売したが、独自商品の比率を5割まで高める。ダイエーは直営の衣料品売り場を縮小し、ファーストリテイリングなど競争力の高い専業チェーンをテナントとして導入する計画だ。町づくり三法の改正で郊外出店が難しくなるため、各社は不振の衣料品部門を強化して既存店の収益改善を図る。
人口が減少に転じ、団塊世代が第一線を退き、デフレが終わりを告げようとしている06年4月を軸に、消費者のライフスタイルも変化していく中で、5年前と比較しながら、5年後変革を予測している。中高年も電子マネーを駆使、ケータイが鍵・身分証になるなどの機能が高度になり、生活志向の多様化の中で、構造変化に柔軟に対応する企業だけが生き残るとしている。
店長以外はアルバイト、店長もアルバイトが当たり前のファッションビジネス業界で、正社員比率を高めている企業がある。「人こそが財産」という企業の理念と、成長していくためには優秀な人材の確保がなんとしても必要という強い意志から、コスト増覚悟で取り組んでいる。産業界全体でみると正社員の人数は減り、安い賃金で働くアルバイトやパート、雇用が不安定な契約社員など不安定雇用者は増え続けている。この流れに逆行する動きが始まっている。
日本百貨店協会の｢電子タグ実用化分科会｣は、ICタグのコード体系やICタグを利用したアパレル物流の業務モデルなどの検討結果を報告書にまとめた。これから導入する百貨店向けに｢婦人靴電子タグシステム導入の手引き｣も作成、報告書に添付する。
米大型店50社の05年度決算は、合計で売上高9％増、純利益16％増となった。昨年は春物が寒く苦戦、秋物も天候の悪条件が重なったが、経営の効率化により、一段と収益力を高める結果に。同時に潤沢な資金を持つ金融市場を背景にM&Aが活発化し、百貨店とディスカウンターを中心に業界再編が進んだ。
大手百貨店が携帯電話やインターネットを通じた商品販売を強化する。高島屋、三越、伊勢丹などでこのような動きが見られるが、特に伊勢丹は強みのファッション商品でネット事業を強化する。手に入りにくいブランド品や化粧品を揃え、会員限定のオンラインショッピングサービスを開始する。今秋以降は購買履歴に応じて一人ひとりの顧客への商品提案もする。経済産業省などの調べでは、2004年度の消費者向け電子商取引の市場規模は前年比35.4％増、5年間で25倍近くに急拡大している。
ブログ(日記風の簡易型ホームページ)が、最新の口コミマーケティングの主役となっていると紹介されている。購入者が自分の満足や感動を別の人に伝えてこそ、大きな消費トレンドになり、モノを売る販路より、買い手による推奨の流れをスムーズにすることが、売れる商品の秘訣となる。
イタリアなど欧州の高級ブランドが相次ぎ、インドで出店に乗り出した。高い経済成長を背景に個人消費が大きな伸びを見せる同国を、中国に次ぐ将来の有望市場とみて、まずは販売網確立のための橋頭堡(きょうとうほ)を築く。印政府が今年に入り、外資ブランドに現地法人の経営権掌握を認める内容の規制緩和を実施したことも追い風で、各社の進出競争に拍車がかかりそうだ。
中国に進出している日系商社の保税区企業の商業企業化が相次いでいる。外商投資商業領域管理弁法により、内販権や貿易権を持つ一般地域の商業企業の設立許可を取得し、これにより国内外への投資も可能な地域本部の許可が得られるためで、大手商社が既に取得し始めている。
同性愛者など「ＬＧＢＴ」と呼ばれる性的マイノリティー(少数派)がマーケティングの世界で、静かに注目を集めている。社会的にはなお、差別や屈折と戦う彼らだが、消費やエンターテインメントの現場では、鋭い感性を見せ、洗練された生活スタイルやファッションが流行をリードする。ＬＧＢＴを受け入れ、彼らに学ぶ先に、思わぬ視界が開けるかもしれない。
大手百貨店が、都心基幹店の改装・増床を中心に、設備投資を増額する方針を相次いで打ち出した。大都市に集中する傾向が加速する中で生き残るには、基幹店へ100億円超の大型投資で競争力を高める必要があるとの判断から。
女性化する男性―。これまで女性をコアターゲットにしてきたアイテムが男性に目を向け始めている。男性向け化粧品、エステ、ネイルサービスなど、女性の専売特許的な商品・サービスが活気づいている。こうした中で男性下着カタログ通販の登場など、繊維業界も新風が舞い込んでいる。
ヒストリカル・バッグやビクトリアン・ドレスのリメークに代表されるマスレベルでのトレンドは、きれいめのビンテージやアンティークに向かっている。好調なハイエンド市場との相乗効果により、ブティック感覚で厳選した商品だけを置く“セレクト系ビンテージショップ”が、ニューヨークのダウンタウンに増加中だ。
百貨店では衣料品や服飾雑貨は紳士と婦人と売り場が別れているのが普通だが、大丸梅田店の地下1階に男性向けと女性向けの商品が一緒に並ぶ売り場が登場した。「最近の若者は買い物をカップルで楽しむ傾向が強まっている」という20歳代前半の若者達の消費行動を踏まえ、「ヤングレディス＆メンズフロア」に改装したもの。改装後は「セレクトショップに流れていたようなカップルの来店が増えた」という。
05年冬、暖冬予想から厳しい寒波でコートが飛ぶように消え、百貨店や専門店の売り場から消えた。各社とも手当に走ったが、年末年始の商戦で欠品による販売機会ロスを招いた。その背景には、衣料品流通を覆う構造問題があり、その検証をしている。
量販店各社は新たな成長業種として、スパーセンター(SuC)の開発に力を入れている。イオンが東北地方で、イズミヤやオークワが関西で手掛けている。｢まちづくり３法｣の見直しもあり、量販店にとって小型SCの有効な業態になる可能性がある。
リネン機器メーカーの〈株〉プレックスは、シーツ検査装置(ウルトラアイ・Master)を発売した。この装置は、高精度カメラでシーツに付着した汚れ及び破れを検出する。よごれの濃さや大きさは細かく設定できるようになり、設定値を越えた位置をモニターに表示する。またモニターには検査状況をリアルタイムに映し出す。シーツの周辺部にある社名や縁縫いをマスキングする機能が備えられた。また設定を変更して、何度でも再検査できる。裏面検査装置リバースユニットと組合せると、これまで行うことができなかったテーブルクロス、ピロケースなどの裏面検査ができる。
遠赤外線を用いた静止型乾燥機。もともと病院のスリッパ、食品工場のユニフォームの除菌、消臭用に用いられた機械であったが、その性能を向上させ、棚に静置された衣類の内部まで乾燥できるようにした。そのため4基備えられたファンで熱を衣類内部まで行き渡らせ、棚を調整すればふとん類や靴の乾燥も可能にした。乾燥温度は50℃、遠赤外線なので除菌・消臭が可能である。活性炭を備えているので、消臭は靴の臭気、腋臭、たばこ臭、ドライ臭も吸着する。容量は一度に15着から30着までの4機種。販売は〈株〉クロセテクニカル〈神戸市〉で、1号機が広島で稼動した。
洗濯機の年間需要は450万台前後。その四分の一、約120万台を洗濯乾燥機が占める。最新の洗濯乾燥機は、洗浄力や乾燥能力、洗濯乾燥時間のスピードアップを図るとともに節水や乾燥時にかかる電機代の低減などの改善に力を注いでいる。洗濯機を選ぶときのポイントとなるのは、第一に設置サイズ。洗濯容量や乾燥容量は家族数、洗濯量、頻度にもよるが、少人数家族でも毛布などを洗いたい人は、容量の大きいのを選ぶ。乾燥機能、毎回使用は電気代がかさむので、仕上げ乾燥のみ、天日干しと組み合わせるとよい。
福島県消費生活センターは、14銘柄(価格、96円～1365円)のタオルを、吸水性や吸水速度についてテストした。結果として、価格とタオルの吸収性などの性能について相関関係は認められなかった。タオルは毎日使うものだ。価格やデザイン以外にも肌に触れるときの感触、水分の吸収性、保水性、使い勝手、洗濯のしやすさなどを考慮し、各自の生活シーンにおいて、最も用途に合ったものを選択購入して活用するとよい。
家計の衣料品支出に占める男性用の割合は05年に80年代後半の水準近くまで回復。シャツ・セーターの平均購入価格は物価の伸びを上回るベースで上昇、高くても上質なものを求める消費者の意欲が統計でも裏付けられた。景気回復や団塊の世代の消費、クールビズなどの意識変化とみている。
所得のうちどれだけを商品やサ－ビスの購入などに振り向けたかを示す「消費性向」の上昇基調が鮮明となった。2005年の消費性能は約75％となり1990年以来、15年ぶりの高水準となった。このところの景気回復で、家計部門が消費意欲を高めているのが背景。日銀などは企業業績好調→所得増→消費増の好環境が続くとの見方を強めている。
茨城県消費生活センターでは、ウールのように暖かく気軽に扱いやすい衣料の別珍であるが、パイル糸の抜けや毛並みの乱れやすさなどの苦情があることから、テストした。別珍ジャケット5銘柄を摩擦や濡れに弱い商品だと認識し、すれや雨に濡らさない注意が必要。ポリウレタンを含む繊維は伸縮性があって着やすいが劣化が早いことも考慮して購入したほうが良い。同じ別珍でも洗濯表示に違いがあるので、良く表示を見て手入れをすることを薦めるなどを消費者へ情報提供した。
すべり止め付き靴下は、すべり止め素材を足裏にコーティングした福祉用具としても販売されている商品だが規格や基準は無い。群馬県消費生活センターでは、すべり止め付き靴下の形態や効果をテストした。床材や靴下の磨耗状態を変え、動摩擦抵抗力を測定した。すべり止めの数が多いほどすべりにくく、床材は、畳の目に沿った方向が最も滑り易く次いでフローリング、ビニールタイル、畳の目に対して直角方向、カーペットの順だった。すべり止め付き靴下は、固い床材で効果を発揮するが、異種類の床に移動の際は、注意が必要。日本靴下工業組合連合会では、組合員に注意事項表示をするよう指示した。
消防法は病院や劇場など不特定多数が利用する施設などで防炎カーテンやカーペットを使用するよう義務付けているが、昨年3月の総務省消防庁の調査で、こうした施設86万6000か所の1割以上が防炎品を使用していないことがわかった。また、一般家庭の普及率は東京都内で3割程度となっており、消防庁では「防炎品の普及が火災での死者減少のカギ」になるとして、06年度予算に約1000万円の普及・啓発予算を計上し、4月からPR策の検討を始める。
服飾資材の製造卸オクイ(大阪市)は、音声などを組み込んで偽物を防止するブランド表示物「ＤＳ(ドットセキュリティ)システム」を開発した。同システムは紙、織物のネームやタグにブランド名を印字する時に、特殊なインクを使って肉眼では確認できない情報を印刷。印刷後、専用スキャナでスキャンすると本物であればその情報にリンクしたコンテンツが再生され、真贋(しんがん)をその場で確認できる。その情報を保持していれば税関や小売り店頭で簡単に検査できる。スキャナはパソコンとつなぐタイプは数千円、単独で使用できるタイプは数万円。安価に高度なセキュリティを保証する。
韓国の繊維・アパレル企業の対中投資は、繊維からアパレルへ、広東省から上海へ、という流れが強まっている。投資件数は共に減少しているものの、金額ではアパレルが繊維を上回っており、韓国のアパレルブランドが中国の内販を狙って投資を加速した。
文化服装学院は｢50歳代女性の衣服製作のための計測データを基にした体型研究｣をまとめた。加齢による体形変化が腹部に表れ、腰のカーブと腹部の突出に若年層の体との大きな違いがあるなど、体形の特徴点をデータで裏付けた。また、3次元測定データに基づく1/2サイズの実体化モデルを作った。
2回目となる｢2006日中繊維産業発展・協力会議｣が3月に両国関係者100人が参加して北京で開かれた。両国の繊維産業の発展を図り、協力関係を築く目的で04年10月に東京で初めて開かれた。討議の結果、相互理解を深めると共に、環境への取り組み強化などを課題とする合意書を取り交わした。
帝人ファイバーは再生ポリエステル繊維の1割減産に踏み切る。需要は好調だが、原料となるペットボトルの国内収集量が中国向け輸出の増加で落ち込んでいるため。中国の資源需要拡大の余波で、減産を余儀なくされた形だ。同社は月千八百トンを生産する国内最大級のメーカーであり、1997年の生産開始以来、本格的な減産は初めてである。ポリエステル短繊維は吸音材をはじめとした自動車の内装材向け需要が好調で、再生品の国内生産量は新品の約３割に達しているという。
06年度TES試験実施要領の紹介と同時に、TES資格者のアドバイスが掲載されている。資格者とは、テイコク恵谷課長、高島屋木谷次長、瀧定清水課長、新宿区消費生活センター小西相談員である。
文化学園と信州大学は、包括的連携協定に調印。両大学は95年、感性工学分野を中心に友好協定を締結し、信州大ではデザイン系の教員も配置されるなどファッション分野の教育・研究が始まっているが、包括的連携でこの流れは本格化する。大沼淳文化学園理事長は「高度な人材育成ニーズに応えるには当校だけでは限界がある。ファッション先進国にふさわしい教育・研究機関を互いにめざす」と説明。信州大の小宮山淳学長は「素材、生産からデザイン、ファッションまでを一緒に教育・研究することで大きな成果を生み出したい。大学発のブランド作りにも生かしたい」と語った。
①6月22日～23日
②東京理科大学森戸記念館
③界面活性剤の分類と合成、分散の基礎と応用、洗浄の基礎と応用、エマルションの基礎と応用、泡の基礎と応用、他
④日本油化学会 TEL 03-3271-7463
①6月30日
②東京工業大学大岡山本館
③繊維とは・天然繊維、合成繊維、紡糸・延伸、糸加工・織物・編物、染色・仕上加工・機能加工、評価計測・感覚計測
④繊維学会
TEL 03-3441-5627
①7月11日
②江戸東京博物館
③洗濯の機械力について、洗剤最前線、クリーニングに関連した課題とその解決法、水洗いスーツ対応芯地の開発、最近の家庭洗濯機の洗濯機械力と衣料の寸法変化の関係、他
④繊維評価技術協議会 TEL 06-6358-7747
①7月20日～21日
②日本規格協会本部
③品質管理とは何をすることか、ばらつきがあるデータ、データを上手に活用するための道具、工程の管理と標準化、他
④日本規格協会 TEL 03-3583-8008
①6月28日
②共立女子大学(神田)
③ヨーロッパ消費者教育の考え方と実践－家庭・学校・行政における消費者教育－講師：Prof.Heiko Steffens(EU経済社会委員会理事)
④共立女子大学・短期大学国際交流委員会 TEL 03-3237-2524
発行：一般社団法人日本衣料管理協会 会長：中島利誠／発行人：大谷芳男